ホテル・ニューハンプシャー

前日の日記に書いたけど、ザ・ロイヤル・テネンバウムズを見て、ひょっとして、ホテル・ニューハンプシャーに似てるんじゃないか、と思ったので、早速見てみた。
この映画を見るのはえらい久しぶりだったけれど、案外話を覚えていた。原作を読んだからだと思うけれど、細かいところも結構覚えていた。
でも、今回見ておどろいたのは、ロブ・ロウは、まあ、いいとして、セス・グリーンまで出ていたこと。まさか、何年か後にオースティン・パワーズで共演するとは、って感じで、びっくりした。セス・グリーンて。好きだけど、この頃はほんとに歯並びの悪い子役が愛嬌を振りまいている、って感じ。まじでびっくりだ。
マシュー・モディンも出ている、っていう印象がなかったので、これまたびっくりした。えらい若い姿だった。でも、1人で二役やってて、片方はつけヒゲで、それがあまりにも似合ってなくって、学芸会か、って感じがした。
なんか、パリテキサスのナスターシャ・キンスキーとか、とてもいい配役というか、微妙に豪華というか。とにかく、時代を感じた。20年も前の作品だもんな。

とにかく、若いジョディ・フォスターがムチムチしてる。最初に見たときは、レイプされたシーンの印象が強かったけれど、なんか、今回見て、別にヘヴィな描き方をしてないなあ、って感じがした。それはレイプシーンだけでなくて、アーヴィングの原作らしく、やたらと人は死ぬし、悲劇の連続だし、その悲劇ゆえのおかしみを書いてこそのアーヴィング、ってことなんだけど、それがこの映画では、あまりにさらっと進みすぎている気がした。
前出のロイヤルテネンバウムズも、同様に、悲劇をさらっと描いているけれど、ポップなコーティングがあまりにうまくいきすぎていて、それは見ていて心地良く過ぎていくのに、ホテル・ニューハンプシャーは、そのポップさがまるでなくて、人生のおかしみ、というものも強調できずに、中途半端な印象を受けた。原作をさらっとなぞるだけでは、そういう形になっちゃうなあ、って感じ。ひどくバランスが悪い。

でも、原作はめちゃめちゃおもしろいし、そこらへんの中途半端さもなく、完全に読者をひきつけて離さない素晴らしい小説だ。再び読んでみようかと思うけれど、あの分厚さにしりごみをして、何年が経つんだろう。とりあえず、本棚から出してみることにするぞ。取り出してみた後、また元に戻すぞ。