「殴るぞ」6巻 吉田戦車

殴るぞ! 6 (ビッグコミックススペシャル)

殴るぞ! 6 (ビッグコミックススペシャル)

吉田戦車が好きだ。好きだったし、好きだ。
なんか、こういう言い方もよくわからないけれど、昔、伝染るんです、がむちゃくちゃ流行った時、僕も、その流行りの中、すげーおもしれー、とか思っていた。本当におもしろいと感じていたのかわからないけれそ、新鮮だったし、衝撃だったし、オール5が好きだ、とか思った。
はまり道とかも相当好きだった。そんな気がする。
不条理やシュール、という言葉の意味や、そういう笑いなり面白さ、というものは、感覚として、なんとなく、な理解の仕方しか出来ないし、理解、という考え方をする以上、それもまた、どこかずれているのかもしれない。

伝染るんです」の連載が終わり、ぷりぷり県などを読みながらも、吉田戦車に対しての特別な思いみたいなのは、元々なかったにしても、どんどん薄れていった。っぽい。

しかし、ここにきて、「殴るぞ」。めちゃめちゃおもしろい。本当にすごいと思う。なんか、シュールとか不条理とか、もう全然違うと思う。吉田戦車をそういう枠組では評しちゃいけない、というか、そんなこと出来ないよな、と思う。誰もしてないのかもしれないけど。
ほんとおもしろいなー。大好きだぜー。すごい漫画だわ、まじで。爆笑とかばかばかしい、というより、うわー、なんだこれー、って思いながら読む。くすくす、しちゃうもの。
しちゃうもの、とか言ってみたけど、やっぱり、漫画とかって、くすくすしちゃうようなのが、1番おもしろいというか、読んでいて楽しいよなあ。どきどきするよなあ。もっと声に出して、ぐはっ、とか笑うようなのもないこともないけど、それだと、後々飽きちゃうとか、何度も読めない、とかそういうこともある。気がする。
その点、何度読んでもくすくするするから。吉田は。
吉田、とか言ってみたけど。ほんとにおもしろいなあ。
なんか、全然、わけわかんないけど、なるほどなあ、とか、言いそうなのがすごい。あの漫画読んで、なるほどなあ、って、思うのがすごい。そう思わせるのがすごい。どういう説得力なんだ、って話だけど、ほんと、吉田すごい。

漫画そのものもそうだけど、漫画のタイトルとかも一々好きだ。PRコーナーみたいな、あの1コマで書いてあるPRポスターみたいな漫画もすごい好きだ。あれはすごい。あの発想。あのコピー。
装丁から帯から、全てすごいセンスだ。
だからと言って、過去の作品を読み直そうとは思わないのは、ほんと、今の殴るぞがすごいから。あんだけ流行った伝染るんです、よりも全然おもしろいと思う。そういう段階を踏まえているところもまたすごい。いや、まじで。