「グッバイ、レーニン」
- 出版社/メーカー: グラッソ(GRASSOC)
- 発売日: 2004/10/16
- メディア: DVD
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いやー、すごい良かった。本当に素敵な映画だと思った。最初見てたら、基本的にアイロニーなことばっかり盛りこんでいくのかなあ、と思っていたけれど、微笑ましくもあり、切なくもあり、何よりも、愛があった。愛に満ちていた、と思う。映画(というより、例えば、キューブリックなのかな)への愛。失われた多くのものへの愛。愛情というものへの愛。そんな感じがした。きらきらとした作品だったなー。すごい素敵だ。素晴らしい。見終わった後の、どきどきした感じが、まだ残っているもん。1日が、すごい穏やかに流れたもんな。
東ドイツの話だとか、社会主義がどうとか、そういうのを盛りこむ場合って、とことんシリアスになるか、とことんポップになるか、どちらかしかないんじゃないかなあ、と思ったけれど、見ながら、アイロニーな要素ばっかりだなあ、と感じながらも、思いのほか、結構ポップだなあ、とも思ったし、それでいて、ロマンティックだなあ、とか思った。すごい稚拙な羅列でしか言えないなー。すまんちん。
なんだろうな、社会主義に対して資本主義を語る時に、アイコンとして、コカコーラを出す、というそういう分かりやすさ、みたいなのは、とことんわかり易くてポップだし、そういう文脈からしか、今は存在しない東ドイツを語れないとすると、それは違うとも思う。その辺のバランスが、すごくいいかも、と思う。うーん、なんていうか、東ドイツが存在している、と信じている母親の立ち位置がすごく切ない、というか、どうなっちゃうんだろう、と感じながら、心配になっちゃう。母親にそう信じこませる息子には、どこまでも愛がある以上、息子のことを、見ている側は悪くは思えないんだけど、だけど、いい加減、やめなよ、と思わせるような、そのバランスが、なんか、僕は好きだなあ。
逆に言うと、そういうような、1周まわって、母親がかわいそう、って感覚って、どこまでいっても、資本主義の方からの見方でしかないから、うさんくさいし、欺瞞だし、驕りだ、っていう批判があるのかもしれないけど。あったらいやだけども。というか、そういう見方に落ちついてしまうのは、すごいいやだし、もったいないなあ、と思うから。
終わり方がすごい素敵です。母が息子を見るまなざしが、とことん、愛に満ちています。あと、モノローグがいちいち素敵だと思う。なかなか、いい言葉やセリフが出てくるなあ、と思った。
エピソードとして、中途半端な部分があることはあるけれども、それでも、すごい素敵な作品だと思います。