「パンク侍、斬られて候」町田康

パンク侍、斬られて候

パンク侍、斬られて候

去年の夏に買っていたはいいのだけれど、時代劇小説、ということで、うわー、なんか、全然読む気しねー、とか思って、読まないでいた。ただでさえ、町田康の小説は、気分が乗るまでがほんと時間がかかるというか、読むのに抵抗がある。だけど、読み始めたら、まじであのテンポがくせになって、ぐいぐいとひきこまれる、そんな町田節、なわけなんだけど、時代劇、ってこともあって、もうさ、そういう時代小説なんて興味ないし、ますます読みにくいのかなあ、と感じていて、確かに、最初の出だしとかは、偏見があると、ますます読みにくいわけなんだけど、これが、かなりおもしろかった。
すごい、エンターテイメントになっていたし、相変わらずバカバカしいし、なんかわけわかんなくて、おもしろい。言葉遣いがくせになってしまう。

やっぱり町田康町田康だったわけで、良かった。また好きになった。町田康の小説ははまるとやめられなくなる。わけわかんねえ、とか、何の意味があるのかわからん、とか、そういう感想を持つかもしれないけど、なんか、その、ぐちゃぐちゃがいい。

そしてこの小説も時代設定がむちゃくちゃで、幕末高校生か、ってくらいなんだけど、ってのは嘘なんだけど、とにかく、その無茶っぷりがおもしろい。猿て。猿て。

だから、ほんとね、この最初のとっかかりが悪いのがもったいないなあ、と思う。表紙も正直、あれはないんじゃないか、と思う。本人、写ってるんだけどさ。なんかなあ。って感じ。
中身はまじでおもしろいし、すごいはちゃめちゃだし、今、すごい久しぶりにはちゃめちゃ、という言葉を使って、自分でどきどきしているし、わーお、いっつくーる、というお得意の町田節まで出てきそうだ。ぬぼぼぼぼ。とか言いそうだ。

そんな感じで、全然、小説じゃない小説。町田康ちゃん。好きだぜー。