「ジョン・レノン対火星人」高橋源一郎

なんか、前に新潮文庫から出ていたものが絶版になっていて、古本屋でも全然見つからなかったんだけど、講談社文芸文庫として発売されたので、うきうきして買ったよ。読んだよ。
講談社文芸文庫は、文庫のくせにすごい高いので、やだよ。単行本並だよ。
でも、高橋源一郎の作品は、「さようなら、ギャングたち」もここから出ていて、なんか現代文学においてものすごく重要な作家だぜ感がめちゃめちゃ出ているけれども、確かに、「さようなら、ギャングたち」にしても、この「ジョン・レノン対火星人」という作品にしても、衝撃的だった、という時代があったんだなあ、ってのは分からないでもない。

んで、読んでみて、やはり、というか、なんていうか。言葉上での戯れじゃん、みたいな、そういう感じがあって、それは嫌いではないけれども、今でも、わけわからん、読むのにしんどい、っていうところはある。
ただ、話としては、結構、シンプルで、暴力と性に対しての徹底的な内省に尽きるんじゃないか、と思う。なんだ、徹底的な内省って。すげー適当に言った。言ってやった。言ってから、やった。
やった、は、もちろん、ガッツポーズの意味合い。

かなり徹底して暴力と性に関して書いてるから、読んでる方の気分はどんよりというか実際気持ち悪くもなるし、胃が重くなるんだけど、それがなんか、何の意味もなくなった記号によって、固有名詞の洪水によって、コーティングされるというか、なんというか。そういうお戯れな感じは、いやではないけれど、結構読みづらい。もちろん、お戯れなんて言い方は適切ではないのかもしれないけれど。

とりあえず、読み終わってみて、これがデビュー作なんて、やはりすげえなあ、と思った。いい悪い、おもしろいおもしろくないは別として、こんなのを書こうって思うことがすごいよ。

あと、普通は解説なんて全然おもしろくないんだけど、この本は解説がとてもおもしろかったです。