「反社会学講座」パオロ・マッツァリーノ

反社会学講座

反社会学講座

タイトルに惹かれて読んだ。とても興味深い話だった。いろんな角度から、反社会学的に社会学をしている、という内容だった。社会学をしている、という意味も自分で書いていてあんまりぴんと来ないんだけど。
そういうのって、結局、物の見方の角度だと思うんだけど、読み物としてもなかなかおもしろかった。目新しいとかそういう感じでもないけれど、現状をいちいち否定していくのが丁寧でいやらしくて、おもしろかった。逆に言うと、きちんとした社会学なども同じことなのかもしれないなあ、と思う。いやらしいよね。基本的に、学問って、いやらしいと思う。ものすごい私見だけど。なんていうか、統計の妙とかもあるだろうし、まず自説ありきなのか、結果として、自説が固まったのか、そういうのって、パッと見は分からないし、読んで見ても、分からないかもしれない。だけど、そういう中で、自説ありきだったとしたら、なんだか、学問ってのはどうなんだろう。もちろん、強引さ、傲慢さ、というものも必要なんだろうけど。
そういうバランスはすごく難しいし、その辺を自覚しているかどうかで、研究する側、読む側、意義が変わってくるなあ、と思う。うまく言えないけど。
日本が駄目だと言うことも容易ければ、日本は世界に誇れる国だ、と言うことだって容易いわけで、その材料ってのはあるわけで、その材料を使った説得力だけが、発言のボリュームの大きさとなっているのだったら、それはなんだか耳が痛くなるなあ、と思う。

だから何? と思うかもしれないけれど、読んでいて、そんなことを今更思わされた。