「ケータイ・ストーリーズ」バリー・ユアグロー

ケータイ・ストーリーズ

ケータイ・ストーリーズ

もうユアグローの小説は読みたくない。そんな気持ちになった。なんていうか、お腹一杯。特にこの本に入っているのは、かなりしんどい。

ユアグローの悪夢的な世界は、本当におもしろいし、すごい刺激的なんだけども、悪夢も同じ者を見続ければ悪夢じゃなくなるように、なんていうか、飽きちゃう。
本当におもしろいからこそ、なんか、もったいないなあ、って思うのだ。なんていうか、手垢のついた世界観は見たくないんだよ、っていう。うーん。
日本だけに、書き下ろし、しかも携帯に配信、という形で書かれたものらしいんだけど、その方法論はおもしろそうだし、将来的には期待がもてるかもしれないけれど、今の形では、なんていうか、中身自体は合わないような気がする。携帯で小説なんておもしろいのかなあ。もちろん、短い文章の中で圧倒的な世界を見せてくれるユアグローの作品でもつまんないからこそ、そう思う。ほかの作家なら尚更無理な話なんじゃないかなあ。
だからこそ、ちゃんと、おもしろいのを読みたかったなあ。というすごく贅沢な文句を言いたいのだ。もちろん、中にはおもしろい話もあって、すげーのもあっただけに、外れが大きくて、大きくて、悲しい。
けど、ユアグローのこのフットワークの軽さ、というのはすごいなあ、とは思う。こういうことも糧になって、次の話に活きてくるわけだろうし。だからこそ、この形で、いつもの感じ、ユアグロー節、というのは、僕にとっては、かなり苦しかったです。

お腹一杯になったから、また違ったアプローチのユアグローの作品が読みたいです。かなり。まじで。